宇宙に1秒弱の瞬間だけ輝く天体現象があること発見―人工衛星・宇宙ゴミが原因の閃光を観測:東北大学/東京大学/理化学研究所ほか
(2025年11月26日発表)
東北大学、東京大学、(国)理化学研究所などの共同研究グループは11月26日、宇宙に僅(わず)か1秒弱だけ輝く天体現象が存在するのを観測することに成功したと発表した。このような短時間だけ輝く天体現象の観測はこれまでなされていなかった。今回の成果は、地球を周回している人工衛星やスペースデブリ(宇宙ゴミ)が太陽光を反射することで生じた閃光を観測したもので、全天(ぜんてん)では1日に1,000万回にも及ぶ頻度でこうした天体現象が発生していることが分った、と研究グループはいっている。
全天とは空全体のこと。数日から数カ月という期間にわたっての全天の天体現象についての研究・観測はこれまでいろいろ行われてきた。
だが、秒オーダーという短い時間スケールでの可視光現象の観測となると、これまで無かった。特に1秒程度の突発天体現象については、その短い時間で全天を観測することの難しさから存在すら明らかにされていなかった。
研究グループは今回、その“秒オーダーの壁”に挑戦した。
研究には、東北大、東大、理研のほか(株)NTT、東京科学大学が参加、長野県にある東大木曽観測所(木曽郡木曽町)に設置されている世界で最も高い感度で可視光の広域観測が行える「Tomo-e Gozen(トモエゴゼン)」と呼ばれている広視野カメラを使い夜空の広域動画観測を行なった。
このカメラは、木曽観測所のシュミット望遠鏡に設置されていて高速で画像を読み出せる84個のCMOSセンサーを搭載し、夜空の広い領域を秒単位で観測できる。研究では0.5秒ごとに夜空の動画観測を実施した。
その結果、僅か0.5秒だけ光る閃光現象を1,554個発見し、解析したところその内の564個は地球の周囲を回っている既知のスペースデブリ・人工衛星の位置と一致し、太陽光を反射して一瞬だけ強く光っているものであることが分かった。
このような閃光の発生頻度は、全天で一日約1,000万回にも達するものと研究グループは推測している。
研究グループは「予想以上に多くの閃光現象を見つけることができた。小さなデブリ(宇宙ゴミ)でも人工衛星や宇宙望遠鏡の損傷のもとになる」と見ており、Tomo-e Gozenによる観測を今後も続け新たな天体の発見に結びつけたいと更なる展開を目指している。



