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呼気の成分を測定し肺がんの有無予測に成功―超高感度嗅覚センサーと機械学習でスクリーニング:物質・材料研究機構ほか

(2024年4月25日発表)

 (国)物質・材料研究機構と筑波大学、茨城県立中央病院の共同研究グループは4月25日、超高感度の嗅覚センサーを使って呼気に含まれる各種成分を検出・測定し、肺がんの有無を予測する機械学習モデルを構築したと発表した。

 80%を超える精度で肺がんの有無を予測できたことから、安全で簡便、低コストの肺がんスクリーニング法に発展する可能性が期待されるという。

 現在肺がんのスクリーニングには主にCT(コンピューター断層撮影)が用いられているが、放射線被曝のリスクを伴い、コストが高く、早期肺がんの発見においては偽陽性率が高いという問題があり、それらの改善が求められている。

 研究グループは今回、呼気による肺がんスクリーニングの可能性に挑戦した。呼気には多くの化合物が含まれており、それらを分析することで肺がんを検出できる可能性がある。しかし、呼気に含まれる情報は複雑で、環境や個人差など様々な影響を受けることが難点とされていた。

 研究グループは呼気の検出に、物質・材料研究機構が開発した膜型表面応力センサーと呼ばれる超高感度な嗅覚センサーを利用、これに機械学習を組み合わせたシステムを作製し、実験した。

 筑波大学附属病院で肺がん手術を受けた66人の患者から手術前後に呼気を提供してもらい、その測定から得られた超高感度嗅覚センサーの応答シグナルを解析し、機械学習モデルで肺がんの有無を予測した。 

 その結果、80%を超える精度(正解率80.9%,感度83.0%、陽性適合率80.6%、陰性適合率81.2%)で肺がんの有無を予測可能であることが実証されたという。

 これは、呼気の分析が肺がんの早期発見を実現する新たなスクリーニング法となる可能性を示すもので、今後呼気がん診断技術の確立に向けて課題を詰め、実用化を目指したいとしている。