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対話ロボットで使う、高齢者に好まれる3つの伝え方を発見―自己開示の不安が減少することを確認、人工知能開発の指針に:筑波大学

(2023年6月9日発表)

 筑波大学システム情報系の田中 文英 准教授は6月9日、高齢者が常日頃感じていることを不安なく他人とおしゃべりする(自己開示)には、「サポート要請型」「隠蔽(いんぺい)型」「レコーディング型」の3つの伝え方が好まれることを、オンライン調査で見つけたと発表した。高齢者向けの対話ロボットやAI(人工知能)の開発の有用な設計指針となる。

 高齢者を社会から孤立させないために社会的仲介ロボットの開発が急がれている。筑波大では人々の孤立や孤独をロボットの力で解決できないかと、対話ロボットや人工知能などのエージェント技術と取り組んでいる。

 特に離れて生活する者同士のやりとりについて、対話型ロボットが仲介し、お互いのコミュニケーションをよりよく促進するための方策を探索している。基本的な設計指針に役立てるためにアンケート調査をした。

 65歳以上の720人(有効回答数589人)の参加者に対してオンライン調査を実施し、高齢者に好まれる伝え方を調べた。内容は「健康や金銭、孤立、生きがい」などの話題と、相手方は「家族、友人」に好まれる伝え方を探った。

 統計分析をしたところ、好まれる伝え方には「サポートの要請型」「隠蔽型」「レコーディング型」の3つのカテゴリー(5種類)に分けられた。

 サポート要請型とは、ロボットが高齢者に代わって相手に助けを求めるタイプの伝え方。隠蔽型はロボットがより間接的な表現を用いる伝え方(5種類)。レコーディング型は高齢者の音声や映像を使って伝える方法(2種類)をいう。

 伝え方は、話題や相手型の種別、高齢者自身の性別や性格特性に応じて適宜選択が必要だった。

 この結果を元に、新たな65歳以上の参加者36人を対象に対面での実験を実施した。その結果、好まれる3つの伝え方の機能を対話型ロボットが使うと、高齢者の不安が明確に減少することが分かった。

 高齢者向けの対話型ロボットや人工知能を開発する際の貴重な指針となる。

 今回は対話に関わるものだが、今後は「触れ合い」などの蝕知覚の可能性など非言語的なコミュニケーションによって、孤独と孤立を効果的に防げるための方策を探ることにしている。