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精密有機合成に銅-ジルコニア固溶体触媒が有効―高い触媒性能を世界で初めて確認:茨城大学ほか

(2023年3月13日発表)

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不均一系銅触媒の例 (提供:茨城大学)

 茨城大学と北海道大学の共同研究グループは3月13日、ジルコニウム金属酸化物のジルコニアに銅を固溶した銅-ジルコニア固溶体触媒が精密有機合成反応に有効で、高い触媒性能があることを世界で初めて確認したと発表した。ファインケミカル合成を指向した高性能固体触媒の実用化が期待されるという。

 有機合成化学の分野では、金属酸化物上に銅の微粒子を付着させた「担持銅触媒」が多用される。銅は有機化学分野では試薬や触媒として利用され、重要な役割を果たしている。その中で、担持銅触媒は銅を単体として利用する非担持銅触媒に比べて性能が高くなる。研究グループが今回着目したのは、金属酸化物上ではなく金属酸化物内部に銅を分散させた「銅固溶体触媒」の一種である銅-ジルコニア固溶体触媒。

 銅-ジルコニア固溶体触媒は二酸化炭素の変換反応などに利用され、高い性能が期待されるものの、これまで異なった有機化合物同士を結合させるカップリング反応などの精密有機合成反応での利用はなかった。

 そこで、研究グループはカップリング反応における銅-ジルコニア固溶体触媒の有用性を他の銅触媒と比較調査した。その結果、担持触媒や非担持触媒に比べて固溶体触媒の収率は優れていること、また、同じ銅-固溶体触媒でも銅-アルミナ固溶体触媒は収率が低く、触媒材料としてはジルコニアが優れていることを見出した。

 次に、銅-ジルコニア固溶体触媒が他の触媒に比べて優れた触媒性能を示す要因を調べたところ、銅-ジルコニア固溶体触媒には還元されやすい銅のみが含まれていることや、触媒反応を促進する特殊な構造を有していることなどが分かった。

 さらに、銅-ジルコニア固溶体触媒を用いることにより、様々なイミダゾール誘導体を合成できることが分かった。

 こうした研究成果により、簡便な操作、温和な反応条件でカップリング体を合成することが可能になるとしており、今後は銅とジルコニアの比率を変えた触媒や、他の還元性の高い銅触媒を用いたりし、よりすぐれた触媒を探索したいとしている。