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ダイズ収穫期に出る温室効果ガス―根粒菌使って30%削減:農業・食品産業技術総合研究機構/東北大学

(2016年10月20日発表)

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ダイズの根粒 丸いこぶのように見えるのが根粒
©農研機構

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構と東北大学の研究グループは10月20日、農耕地に生息する土着根粒菌を利用して収穫期にダイズから出る温室効果ガス「一酸化二窒素(N2O)」を30%削減できたと発表した。二酸化炭素(CO2)の約300倍の温室効果を持つN2Oを、大気中にもともと含まれる窒素に変えられることを野外実験で確認した。世界的に生産量が増えているダイズの収穫期に大気中に排出されるN2Oの削減につながる。

 ダイズは根に根粒菌を共生させて小さなこぶのような根粒を作り、大気中の窒素から自らの肥料になる窒素化合物を作って育つことが知られている。ただ通常は収穫期になると根粒が壊れ、中に含まれる窒素化合物が分解されて温室効果ガスのN2Oが大気中に放出されるという問題があった。

 研究グループは、日本の農耕地に生息する土着根粒菌の中にN2Oを窒素に変える還元酵素を持つものがあることに注目、土着根粒菌125株の中から還元酵素を持つ63株を選択・分離した。そこで、これらの株を混合してダイズに接種したところ、収穫期のN2O発生量を約30%減らすことができた。

 これまで、接種根粒菌は還元酵素を持たない土着根粒菌との競合に弱く、接種効率が上がらないという問題があった。しかし、今回の研究ではもともと農耕地の土壌に生息している土着ダイズ根粒菌の中から還元酵素を持つ根粒菌を選び、それらの混合株を用いることで接種効率が上げられることを見出した。

 地球温暖化の原因になる人為起源の温室効果ガスのうちN2Oによる寄与は6%。その最大の発生源は農耕地で、世界的にみるとN2O発生源の約60%を占める。さらに、それらの農耕地の6%は年々生産量が増えているダイズ畑といわれている。

 研究グループは「微生物を用いた温室効果ガスの削減技術の実用化に向けて大きく前進した」と話している。