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グルーヴリズムに有酸素運動と同様な働き見出す―前頭前野を刺激し脳の実行機能高める:筑波大学ほか

(2022年5月17日発表)

 筑波大学と北海道医療大学の共同研究グループは5月17日、ノリが良いリズムに親和性が高い人は、リズムを聴くだけで注意・集中・判断などの脳の実行機能が高まることを見出したと発表した。脳機能の向上効果を引き出す豊かな運動環境の提案につながることが期待されるという。

 軽い運動でも有酸素運動には前頭前野の機能を高める効果が確認されている。しかし、習慣的な運動実施は低調であり、その解決には、運動に取り組みたくなるような条件の検討が必要とされている。

 研究グループは、運動と相性が良い音楽の特徴とは何かということに着目し、聴くと身体を動かしたくなるグルーヴリズム(GR)と呼ばれるリズムの効果を検討した。

 ノリの良い音楽を聴くとヒトは楽しさや興奮が増し、リズムに合わせて思わず身体を揺らす。リズムを聴いて身体を動かしたくなるこの感覚をグルーヴ感といい、グルーヴ感を引き起こすリズムをグルーヴリズムと呼んでいる。

 研究では、グルーヴリズムを聴くことによって実行機能とその機能遂行のための左DLPFC(前頭前野背外側部)の神経活動が向上するかどうかを、グルーヴリズムに対する心理的反応の個人差に着目して調べた。具体的には、18~26歳の健康な男女51人を対象に、グルーヴ感がもたらされやすいとされるドラム音楽を用い、前頭前野機能への効果を検証した。

 その結果、対象者の中でもグルーヴリズムを聴いてグルーヴ感とポジティブな心理状態が共に大きく高まったグループでは、実行機能と左DLPFCの刺激効果が優位に高まることが分かった。

 さらにこの効果は、被験者全体で見てもグルーヴ感とポジティブな心理状態が高まるほど大きくなる関係にあった。グルーヴリズムが前頭前野を刺激し実行機能を高める効果が明らかになったのはこれが初めてという。

 今後、グルーヴリズムに合わせた運動の効果検証を行うことで、脳機能の向上効果をより引き出す豊かな運動環境の提案につながることが期待されるとしている。