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地球最初の生物は球形だった!―棒状の大腸菌使い実証:筑波大学

(2022年1月11日発表)

 筑波大学は1月11日、地球で最初に誕生した生物は球状だった可能性があると発表した。もともと細い棒状をしている大腸菌を原始地球に似せた環境下に置くと、球状に近づいて増殖するスピードも高まることを実験で確認した。栄養の少ない原始地球で効率よくエネルギーを作り出し、それを節約しながら増えるには、球状であることが必要だったとみている。

 実証したのは筑波大の應蓓文(いん べいうぇん)准教授。実験ではまず原始地球環境の主な栄養素であると考えられている不飽和脂肪酸「オレイン酸」の二分子膜を含む環境下で大腸菌の培養を試みた。その結果、もともと細長い棒状だった大腸菌が球状に近づいていくことが明らかになった。また大腸菌が球状に変化するのに伴って、増殖するスピードが速くなることも分かった。

 球状への変化と増殖速度の上昇が並行して起きていることから、應准教授は大腸菌の形態変化が細胞内の代謝の変化と何らかの関係があると推測、球状になった大腸菌の代謝状況を詳しく調べた、その結果、細長い棒状の時よりも球状になった時の方が、大腸菌はより多く増殖した。一方で、個々の大腸菌が作り出すたんぱく質の量は少なくなった。このため、球状の細胞内では栄養素である不飽和脂肪酸のオレイン酸二分子膜が効率よく拡散されているとみている。

 これらの結果から地球で最初に誕生した生物について、應准教授は「少ない栄養源を効率的に細胞内に行きわたらせてエネルギーを作り出し、そのエネルギーを節約しながら増殖するために、球状の形態が必要だった」と話している。