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ニホンミツバチの全ゲノム配列を解読―蜂蜜を作るセイヨウミツバチの改良などに貢献:農業・食品産業技術総合研究機構ほか

(2019年2月27日発表)

ニホンミツバチ (提供:農研機構)

 (国)農業・食品産業技術総合研究機構と東京農業大学、京都産業大学の共同研究グループは227日、ニホンミツバチの全ゲノムを解読したと発表した。蜂蜜の生産や作物の受粉などに広く利用されているセイヨウミツバチのゲノム解読結果と比較すると、病気に対する抵抗性など、両種の長所・短所を遺伝子レベルで解析できるため、ミツバチ利用技術の向上に役立つとしている。

 ニホンミツバチはセイヨウミツバチの近縁種で、病気や寄生虫に強いといった特性がある。この特徴を利用してセイヨウミツバチを改良しようというアイデアは古くからあったが、両種間の雑種はできず、交配育種ではニホンミツバチの有用形質をセイヨウミツバチに導入できなかった。

 2006年にセイヨウミツバチのゲノムが解読されたことにより、ゲノムの比較を通して特性を解析し、その知見を改良に役立てられる可能性が出てきたことから、研究グループは2016年からニホンミツバチのゲノム解読に取り組んでいた。

 解読は、ニホンミツバチの雄蜂からゲノムDNAを取り出し次世代シークエンス技術を用いて実施、これまでに例を見ない高い精度で塩基配列情報を得た。遺伝子はセイヨウミツバチの10,157個よりも多い13,222個が見つかった。昆虫に一般的に見られる免疫に関わる遺伝子は全て見つかり、ニホンミツバチは他の昆虫と同様の免疫機構を持つことが示唆された。

 突然変異を引き起こし進化の要因ともなるトランスポゾン(転位因子)はこれまで報告されたミツバチと同様に他の昆虫より少ないことも分かった。ミツバチでなぜトランスポゾンの数が少ないかは進化生物学上、興味深い謎の一つとしている。

 農研機構は当面、免疫に関わる遺伝子群について比較解析を進める予定という。