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房総半島沖の海底でコバルトリッチクラストを発見―排他的経済水域内での確認は初めて:海洋研究開発機構/筑波大学ほか

(2017年6月5日発表)

水深3,200m付近の厚さ約13cmのコバルトリッチクラストの写真 ©海洋研究開発機構(JAMSTEC)

 (国)海洋研究開発機構(JAMSTEC)、筑波大学などは65日、千葉県の房総半島沖の水深1,500mから5,500mの海底斜面一帯で将来の鉱物資源として有望視されている「コバルトリッチクラスト」の広がりを発見したと発表した。本州近海の排他的経済水域内の海山(海中の山)がコバルトリッチクラストで覆われていることが確認されたのは初めて。

 コバルトリッチクラストは、水深が1,000mを超すような海山の斜面などの岩盤に存在するマンガン団塊の一種。その名の通りコバルトを多く含み、他にもニッケル、白金など各種のレアメタル(希少金属)を含有している。

 そのため、1970年代末の世界的なコバルト価格の高騰を契機に関心が高まり、1981年に米国と旧西独の海底調査で鉱床が発見されている。

 我が国でも1987年から太平洋の公海で調査が始まり、昨年の2月にはJAMSTECが高知大学と共同で日本から遠く離れた南東の巨大海山「拓洋第5海山」の5,500mを超える海底からコバルトリッチクラストの研究用試料を採取したと発表している。

 今回の調査は、房総半島の東南東約350km沖に位置する頂上が平坦な「拓洋第3海山」で、高知大学、茨城大学が参加してJAMSTECの無人探査機「かいこうMk-Ⅳ」を使って行われ、水深1,4001,700m2,5002,700m3,200m4,300m5,500mの領域で合計5回の調査潜航を実施した。

 その結果、調査した「拓洋第3海山」の斜面一帯が全て厚いコバルトリッチクラストで覆われていることが判明、各水深で研究用の試料を採取したところ、3,200mの水深では厚さ13cmに達するコバルトリッチクラストが得られた。

 また、潜航点各点から採取したコバルトリッチクラストの厚さが全て5cmを越えていたという。

 かつて日本は、世界有数の金、銀、銅の産出国だった。それが今は、金属資源のほぼ全てを海外に依存している。排他的経済水域内の海山で有望なコバルトリッチクラスト床が発見された意義は大きい。