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樹上性カタツムリの行動特性を調査、解明―樹上環境への適応的意義明らかに:筑波大学/北海道大学

(2017年3月30日発表)

 筑波大学と北海道大学の研究グループは330日、春に樹上に登り秋に地表に降りてくる樹上性カタツムリ「サッポロマイマイ」の生態を調査し、環境への適応進化を明らかにしたと発表した。

 サッポロマイマイは冬眠から冬眠の間の活動期に樹上に登って生活する。高い樹上は一般に風通しがよく、湿気の多いジメジメした場所を好むカタツムリの棲息には適していないように思われる。にもかかわらず、なぜサッポロマイマイは樹上生活に適応したのか、その適応的意義は明らかでなかった。

 研究グループは今回、北大の苫小牧研究林に設置されている高さ約14mの森林観測用タワーを利用し、サッポロマイマイの樹上での行動や生態を調べた。

 その結果、冬期は地表の落ち葉の中で冬眠し、5月中旬に一斉に樹上に移動、しばらく木の上で生活した後、10月中旬ごろに地上に降りて越冬することがわかった。春の登り始めの時期はカタツムリの捕食者である地表性のオサムシ類が活動を開始する少し前、また、降りてくる時期はオサムシ類がほぼ活動を停止する時期と一致していた。このことから、木に登ることは捕食者を回避する効果があることが推定された。

 木に登らないとどうなるかを実験調査したところ、木に登れないようにしたグループの生存率は樹上グループに比べ著しく低かった。また木の上のサッポロマイマイの食物資源を調べたところ、地衣類やコケ類を食用にしていることがわかった。

 こうした調査結果から、樹上性カタツムリであるサッポロマイマイは、地表にいる様々な捕食者を回避し、生存率を高めるために木に登っていること、また、食物資源として利用している地衣・コケ類が樹上にあることが樹上で生存していく助けとなっていることが強く示唆されたとしている。