(独)産業技術総合研究所は6月24日、低コストの遺伝子(DNA=デオキシリボ核酸)定量法を開発したと発表した。
処理コストを従来のDNA定量法「蛍光プローブ法」の5分の1から10分の1程度に低減でき、汎用性があることから、ライフサイエンスの分野だけでなく環境・農業・食品など幅広い分野に使えるものと同研究所は見ている。
蛍光プローブ法は、測定したいDNA(標的DNA)に特異的に結合する蛍光DNAプローブ(1本鎖のDNA)を使う定量法。蛍光DNAプローブが標的DNAと結合すると蛍光が消え、その蛍光消光を測定してDNAの量を定量するという方法で、精度が高いことから遺伝子の定量技術として広く採用されている。
しかし、標的DNAごとに異なる蛍光DNAプローブを用意しなければならないため、多種類のDNAを定量するには時間とコストがかかる難点があった。
新DNA定量法は、標的DNAと蛍光DNAプローブの両者を結びつけるのに「ジョイントDNA」と呼ぶ一種のバインダーを使うという方法。ジョイントDNAは、標的DNAと蛍光DNAプローブの両方に結合し、蛍光DNAプローブが標的DNAに近づくと蛍光が消え、その蛍光消光の程度を測定して標的DNAを定量する方式。
これまでのように標的DNAごとに蛍光DNAプローブを用意する必要がなく、一種類の蛍光DNAプローブで様々な標的DNAを定量できる。
ジョイントDNAは、標的DNAごとに設計・合成しないとならないが、合成は容易で、時間・コスト共あまりかからないという。
この研究成果の詳細は、米国化学会の「Analytical Chemistry」誌の電子版に掲載された。
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No.2009-25
2009年6月22日~2009年6月28日