(独)農業・食品産業技術総合研究機構の作物研究所は5月20日、今年度実施を予定している「高トリプトファン含量遺伝子組み換えイネ」隔離圃場栽培実験の計画書を発表した。
この栽培実験は、鶏や豚の添加飼料に使われている必須アミノ酸の一種「トリプトファン」の含有量を遺伝的に高めた飼料用イネの開発を目的に、つくば市(茨城)にある同研究所の高機能隔離圃場を使って行おうとしているもの。
栽培実験に使うのは、3系統の飼料用イネ。平成16年に同研究所の隔離されていない一般圃場で栽培した高トリプトファン含量イネの改良型で、3系統は種子中のトリプトファン蓄積量が非組み換えイネの約80倍、同100倍、同200倍とそれぞれ異なり、その差によりどんな違いが生ずるかを確認するのも実験の目的の一つ。
栽培実験計画書によると、栽培は高機能隔離圃場の約10アール(1,000m²)の水田の一部を使って行い、6月下旬に高機能隔離圃場に移植し、10月中旬に収穫して栽培を終える予定。
栽培場所は、一般農家の最も近い水田から1km以上離れているが、同研究所の外にこの遺伝子組み換えイネの花粉が飛散したかどうかを調べるモニタリングポットを同研究所と外部との境界近くに4カ所設け、そのポットで育てたイネの種子の中に組み換えイネに導入された遺伝子があるかどうかを確認する。
収穫した種子は、試料用として種籾(たねもみ)か玄米の形で密閉容器に保管し、刈り取った稲ワラは細断した後、焼却などによって隔離圃場内で不活性化するとしている。
No.2009-20
2009年5月18日~2009年5月24日