前眼部専用の3次元断層撮影装置を世界で初めて製品化
:筑波大学/東京医科大学/トーメーコーポレーション

 筑波大学、東京医科大学、(株)トーメーコーポレーションの共同研究グループは5月21日、人の眼球の前の部分(前眼部)専用の3次元断層撮影装置の実用化に世界で初めて成功したと発表した。
 新装置は、眼科での検査・診察・治療を大きく変えると期待され、トーメーコーポレーションが「CASIA(カシア)」の製品名で販売する。
 この3次元断層撮影装置は、赤外光を使って患者の前眼部全体の3次元立体情報を計測してパソコンに保存し、検査後に様々の病態解析が行なえるようにしたもので、脳疾患などの検査に使われるX線CT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像化装置)のような立体イメージング装置の眼科版といえる。この装置の原型は、2005年に筑波大が開発、翌年から臨床応用について東京医科大と共同研究を開始。その後、トーメーコーポレーションを加えた3者で実用化・製品化に向けた共同開発が続けられていた。
 この装置は、患者の眼球にプローブ(探針)を全く接触させずに、僅か2秒ほどで前眼部全体の3次元情報を得ることができる。しかも、深さ方向に10μ(ミクロン、1μは100万分の1m)というMRIの100分の1以下の極めて高い分解能で組織の3次元構造を可視化する。もちろん、人体に対しては全く害を与えない。
 このため、これまで感染症の危険があって検査できなかった白内障手術直後の角膜の検査が可能になるほか、事前検査による予防的治療で緑内障発症を避けることもできるようになった。
 また、この装置が高速・非接触なことから、集団検診による緑内障のスクーリニングも実施可能になり、最近問題のドライアイの診断・治療も行なえる。

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