硬い大豆「石豆」を柔らかくする技術を開発
:農業・食品産業技術総合研究機構/筑波大学/原田産業/三倉産業

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構は5月22日、筑波大学、原田産業(株)、三倉産業(株)と共同で、硬くて食品にならない「石豆(いしまめ)」と呼ばれる大豆を柔らかくして、納豆にまで利用できるようにする技術を開発したと発表した。
 皮の硬い種子のことを学術的には「硬実種子(こうじつ・しゅし)」と呼び、その例としてアサガオが広く知られている。大豆も硬実種子を形成する場合があり、水に浸しても吸水しない大豆の硬実種子のことを加工に適しないという意味を込めて石豆と呼んでいる。
 石豆は、種皮の微細構造以外正常な大豆と変わらないため原料段階での選別が難しく、加工工程で特別な機械によって除去したり、人手で選り分けたりしているのが実情。原料大豆の生産・輸入ロットによっては、石豆が10%近く混在している場合もあって関係者にとっては「悩みのタネ」となっている。
 正常な大豆には、表皮に深さ10μ(ミクロン、1μは100万分の1m)以上の凹みが多数あって水が浸透しやすくなっている。研究グループは、回転翼と研磨網を使った研磨機で石豆の表面に微細な凹みをつけ、正常に吸水する大豆に変える「種子吸水促進技術」(特許出願中)を開発して、石豆を選別することなく利用できるようにした。
 原田産業が製造販売していた大豆研磨機を改造して装置化を実現、三倉産業の大豆選別工場で実証試験を繰り返し、実用化のメドをつけた。
 同機構では、大豆選別工場を中心に全国で100台程度の普及を見込んでいる。

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石豆を正常に吸水する大豆に変える研磨機(提供:農業・食品産業技術総合研究機構)