筑波大学は4月15日、メタボリックシンドローム(代謝症候群)を改善するためには、体重の8~13%の減量が必要であることを明らかにしたと発表した。
メタボリックシンドロームとは、内蔵に脂肪がたまった上に高血圧などいくつかの症状が重なることにより、様々な病気が起りやすくなる状態をいう。一般に、体重を減量することで、肥満と関係する症状が改善することは知られていたが、具体的にどの程度の減量が必要なのかを、日本人を対象とした研究によって明らかにした例はこれまでなかった。
研究グループは、1999年から2006年にかけて茨城県と千葉県に在住の563人の女性に対して3カ月間の減量指導を行ってきた。その中で、肥満の判定基準となっているBMI(ボディー・マス・インデックス=体格指数)が25以上40未満であり、メタボリックシンドロームの構成因子である腹部肥満、脂質異常、高血圧、高血糖の4つの因子の内、少なくとも1つの因子を保有する323人をこの研究の対象とした。
3カ月間で、メタボリックシンドロームの構成因子が、標準範囲内まで改善するにはどのくらいの減量が必要なのかを、年齢・BMI・運動の有無・体重の減少率などについて「CART分析」という統計手法を用いて調べた。
その結果、少なくとも1つのメタボリックシンドロームの構成因子を改善するためには、体重の8%以上の減量、腹部肥満や高血糖を改善するためには、13%以上の減量が必要であることが明らかになった。したがって、体重70kgの女性の場合、6~9kgの減量がメタボリックシンドローム改善のための目標値に相当する。
研究グループは、今後の課題として、このような減量効果を上げるための、より経済的、効率的なプログラムを開発し、その減量効果を科学的に検証することを挙げている。
この研究成果は、医学専門誌「プリベンティブ・メディシン」4月号に掲載された。
No.2009-15
2009年4月13日~2009年4月19日