(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月22日、国際宇宙ステーション(ISS)に接続した日本実験棟「きぼう」を使っての科学実験を開始した。
22日にスタートしたのは、「マランゴニ対流」と呼ばれる液体の対流実験を宇宙空間で行おうというもの。
マランゴニ対流は、微小重力環境でないと長期間にわたる観測ができない。地上では重力の影響を受けた対流現象と区別がつきにくいが、宇宙空間では重力の影響を受けずに長期にわたる実験ができるため、流体の性質についての知見を深めるだけでなく、半導体材料の製造や宇宙用機器開発に重要な意味を持っている。
実験は、「きぼう」の船内実験室に装備されている流体物理実験装置をつくば市(茨城)にあるJAXA筑波宇宙センターから遠隔操作し、マランゴニ対流を起こすという方法で行う。
「きぼう」での宇宙実験は、マランゴニ対流のほかにも、[1]細胞分化と形態形成の調節、[2]氷結晶の成長におけるパターン、[3]宇宙飛行士の骨量減少・尿路結石の予防、が計画されている。
また、JAXAは、「きぼう」での宇宙実験を2009年6月から2010年5月末まで有償で広く一般に行ってもらう方針で、現在実験テーマの募集を行っている。募集の締め切りは、9月30日午後5時。
No.2008-32
2008年8月18日~2008年8月24日