黒麹菌のゲノムの塩基配列を解読
:産業技術総合研究所/酒類総合研究所/製品評価技術基盤機構など

 (独)産業技術総合研究所は8月18日、黒麹菌(くろこうじきん)のゲノム(全ての遺伝情報)の概要の解析(解読)に世界で初めて成功したと発表した。
 麹菌は、日本において醸造や食品加工などに広く用いられている菌(微生物)で、胞子の色によって大きく3三種類に分けられる。本州における清酒、味噌、醤油などの製造には、黄麹菌が用いられており、沖縄の泡盛や九州の焼酎などアルコール類の醸造には、雑菌の繁殖を抑える能力の高い黒麹菌や、その異変種と考えられる白麹菌が用いられてきた。
 今回の黒麹菌「NBRC4314株」のゲノム解析は、産総研を代表とし(独)酒類総合研究所、大学(近畿大学など5大学)、酒造メーカー、沖縄県関連機関などが参加する「黒麹菌ゲノム解析コンソーシアム」と(独)製品評価技術基盤機構とが共同で行った。その結果、黒麹菌4314株のゲノムサイズは、約3,500万塩基対と見積もられ、染色体末端などを除いたゲノムの99%以上について高精度の塩基配列を取得した。
 研究グループは、2005年12月に黄麹菌のゲノム解析の完了を発表しており、今回の黒麹菌のゲノム解析により、日本の伝統的な産業微生物である麹菌の代表菌種2種のゲノム情報が揃ったことになる。これにより今後、バイオマス(生物資源)の有効利用などバイオテクノロジーの様々な分野での活用が見込まれる。
 研究グループは、さらに、沖縄県が最新の塩基配列決定装置「ギガシーケンサ―」を用いて実施する黒麹菌の研究プロジェクトとも連携して解析を進める予定で、沖縄産泡盛の品質向上などへの貢献も期待されている。

詳しくはこちら