高エネルギー加速器研究機構(KEK)は8月5日、KEKの電子陽電子衝突型加速器(KEK Bファクトリー:KEKB)を使って実験を行っている実験グループが、新しい3種類の中間子を発見したと発表した。
同実験グループは、世界の14の国と地域、55の研究機関からの約400人の研究者が参加する国際共同研究チームで、「Belle実験グループ」と呼ばれ、これまでKEKBを使った実験で、従来の中間子にみられない粒子(エキゾチック粒子)を相次いで発見している。
物質を構成する基本的な粒子クォークは、自然界ではクォーク3個からなる重粒子、またはクォーク1個と反クォーク1個が強い力で結合した中間子として存在する。この組み合わせ以外のクォークの集まりからなる粒子を、エキゾチック粒子と呼ぶ。 Belle実験で、これまでに発見されたエキゾチック粒子は、4個のクォークでできた粒子である可能性が指摘されていた。
今回、Belle実験グループは、KEKB加速器で生成された中間子の一種であるB中間子の崩壊の過程で、2種類の新粒子を発見した。これらの新粒子は、昨年発見された粒子と同じく電荷をもつ点が特徴で、このような電荷を持つ粒子は、4個のクォークで構成されることが必要であると考えられている。
もう1種類の新粒子は、「ウプシロン」と呼ばれる中間子に着目してKEKBを使って行われた実験の過程で発見された。
エキゾチック粒子の相次ぐ発見は、クォークに働く強い力によって形成される物質の新しい形態を示す成果としても注目されている。
この成果は、7月30日から米国のフィラデルフィアで開かれた高エネルギー物理国際会議で発表された。
No.2008-31
2008年8月11日~2008年8月17日