（独）産業技術総合研究所（産総研）は7月3日、東京医科歯科大学などとの共同研究で構築した「患者一人ひとりに合わせた医療」の実現に向けた分子臨床医学データベースを同日からウェブサイト(http://omics.tmd.ac.jp/)で公開したと発表した。
　文部科学省の科学技術振興調整費による重要課題解決型研究「網羅的疾患分子病態データベースの構築」プロジェクトとして、東京医科歯科大、産総研、国立がんセンター研究所、理化学研究所、日立ソフトウェアエンジニアリングが参加して「患者一人ひとりに合わせた医療」の実現に向けた情報を蓄積し、研究基盤として一般に利用できるデータベースとして公開したもの。
　近年、「オミックス情報」（遺伝子やタンパク質に関する情報など、生体内に存在する分子に関わる情報の総称）と呼ばれる生命分子の網羅的情報の研究開発が進み、医療への応用も始まっている。しかし、分子的なオミックス情報と、これまでの医学に基づいた臨床情報との関係は明確でないものが多く、疾患の診断・治療などに役立てる「新しい医学」の体系化はまだ確立されていない。
　今回構築したデータベースは、東京医科歯科大の解析により得られたがん疾患の症例情報に加え、国立がんセンター研究所などが公開しているデータを併せて、合計400例以上を集積している。この内、東京医科歯科大の症例については、生活習慣、病歴、臨床検査、画像診断、病理診断といった、詳細な臨床情報までを蓄積している。また、理研、産総研などのデータベースとの連携により、常に最新の支援情報が得られる仕組みになっている。
　「一人ひとりに合わせた医療」を実現するための知的研究基盤であるこのデータベースは、医師や研究者がユーザー登録すれば利用することができる。

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