「ヒートアイランド現象」の環境への影響を定量化
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は6月5日、都市中心部の気温が高くなる「ヒートアイランド現象」による環境影響を定量化し、東京23区における気温上昇と睡眠障害、熱ストレス、熱中症、寒冷ストレス、冷暖房エネルギー消費との関係を明らかにしたと発表した。
 ヒートアイランド現象は、都市中心部の気温が郊外に比べて島状に高くなる現象のこと。気象庁によると、1900年から2000年までの100年間の東京の気温上昇は、約3ºCで、全国平均の気温上昇同1ºCより同2ºCも高い。この傾向は、世界各地の多くの大都市で見られ、熱中症や睡眠障害、エネルギー消費の増大など様々な影響が生じている。
 しかし、それぞれの影響がどの程度問題なのかは、まだきちんと定量化されていない。
 今回の成果は、製品やサービスの環境への影響を評価するライフサイエンスアセスメント(LCA)手法の1つで、大気汚染や地球温暖化など様々な環境問題を定量的に比較検討できる同研究所開発の「日本版被害算定型影響評価手法(LIME)」と呼ばれる定量化手法を用い、東京23区を対象にヒートアイランド問題の中でも影響が大きい睡眠障害を中心に定量化したもの。
 それによると、1982年を基準として2002年のヒートアイランドによりもたらされた東京23区の環境影響は、年間で睡眠障害114億円、熱ストレス8.7億円、熱中症1.8億円、冷房エネルギー消費0.28億円、暖房エネルギー消費-0.47億円、寒冷ストレス-80億円で、合計すると約44億円になるとしている。
 また、深夜0時の外気温が約26ºCを超えると、1ºC上昇するごとに睡眠障害者の割合が約3%ずつ増加することも分かったという。 

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