(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月3日、陸域観測技術衛星「だいち」で観測したデータを米国のデータ中継衛星(「F10」)を中継してNASA(米航空宇宙局)のホワイトサンズ局(ニューメキシコ州)に伝送する世界で初めての通信実験に成功したと発表した。
「だいち」と「F10」との通信実験は、JAXAとNASAの間で衛星間通信の技術的な可能性を確認する目的で行われているもので、実験はJAXA、NASA、アラスカ大学が共同で実施した。「だいち」のデータ中継アンテナを「F10」に向け、観測したデータを世界最高速の毎秒240メガ(メガは100万)ビットで「F10」に送信。中継されたデータは、ホワイトサンズ局で受信し、アラスカ大学で画像処理されてJAXAへ伝送された。
「だいち」からのデータは現在、データ中継技術衛星「こだま」(静止衛星)を経由して、鳩山町(埼玉)にあるJAXAの地球観測センターで受信しているが、「こだま」の不可視域でのデータは搭載しているデータレコーダーに記録され、「こだま」が可視域に来た時に受信している。
今回の実験成功で、「こだま」の不可視域である北米・南米地域の上空からでもリアルタイムにデータを受信できる可能性が強まったわけで、「だいち」の観測データが地図作成や環境観測、災害の状況把握や資源の探査など、世界で広く役立てられそうだ。
No.2008-22
2008年6月2日~2008年6月8日