地球温暖化「日本への影響」を発表
:国立環境研究所/茨城大学など

 (独)国立環境研究所、茨城大学など14機関の研究者が参加する「温暖化影響総合予測プロジェクト」は5月29日、「地球温暖化による日本への影響」などの研究成果を発表した。
 このプロジェクトは、環境省の地球環境研究総合推進費により平成17年度から昨年度までの3年間にわたり、今世紀中頃(2050年頃)までに重点をおきながら今世紀末までを対象として、「水資源」「森林」「農業」「沿岸域」「健康」の5分野における温暖化影響予測や経済評価などを行った。
 この研究で、我が国にも比較的低い気温上昇で厳しい影響が現れること、影響は地域ごとに異なり、分野ごとに特に脆弱な地域があることを明らかにした。
 このうち「水資源への影響」は、50年に1回降る豪雨が、2030年ごろには30年に1回の頻度に増えるなど、豪雨の頻度と強度が増加して、洪水の被害が拡大し、土砂災害などが増える。
 また、「森林資源への影響」も深刻で、温暖化に伴う気温上昇・降雨量の変化によって、我が国の森林は大きな打撃を受ける。ブナ林などの分布適域は激減し、世界遺産に登録されている白神山地(青森・秋田県)のブナ林も消滅の恐れがある。
 「農業」では、コメの収量などに影響が出る。「沿岸域への影響」では、海面上昇と高潮の増大で被害が増加する。「健康への影響」は、気温とくに日中の最高気温の上昇に伴い、熱ストレスによる死亡リスクや、熱中症患者発生数が急激に増加する、などとしている。
 このプロジェクトは、さらに来年度までの2年間研究を続ける。

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