日本は世界有数の金属資源大国-「都市鉱山」に存在する蓄積量を算定
:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構は1月11日、これまでに国内に蓄積されたリサイクルの対象となる金属の量を算定し、我が国の「都市鉱山」は世界の資源国に匹敵する規模であることが分かったと発表した。
 我が国では、以前から都市で大量に捨てられる家電製品や電子機器類など使用済み廃棄物の中に有用な資源が存在していることが指摘され、それを一つの大きな鉱山とみなして「都市鉱山」と呼んできた。しかし、この都市鉱山の規模に相当する国内蓄積量について、全体を推定する研究はこれまで系統的に行われていなかった。
 同機構では今回、輸出入のデータである貿易統計や産業連関表・工業統計などを用いて、金・銀をはじめ枯渇が危惧されているレアメタル(希少金属)を合わせた20種の金属について、国内の蓄積量(都市鉱山規模)の推定計算を行った。その結果、金は、世界の現有埋蔵量の約16%に当たる約6800t、銀は22%の約6万tにおよび、他にも透明電極としてディスプレイなどに使われるインジウム61%、錫11%、タンタル10%と世界の埋蔵量の1割を超える金属が多数あることが分かった。また、他の金属でも、国別埋蔵量を比較すると白金などベスト5に入る金属が多いことも分かった。
 同機構では、都市鉱山の計算から、我が国が世界有数の資源国になりうることを示したが、今後は資源として取り出す研究開発を行い、有効活用していくことが必要であるとしている。   
 この研究成果は、3月の鉄鋼協会、資源素材学会の春季講演大会などで発表される。

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日本の「都市鉱山」の金の蓄積量と、世界各国の金の埋蔵量。日本の都市鉱山には、世界の金埋蔵量の16%に相当する金が存在する。(提供:物質・材料研究機構)