「笑い」によりスイッチがオンになる糖尿病合併症抑制遺伝子を発見
:国際科学振興財団

 (財)国際科学振興財団は12月3日、笑いによりスイッチがオンオフされる遺伝子の中に糖尿病合併症の進展を抑制する遺伝子が含まれていることを見出したと発表した。
 同財団バイオ研究所の研究グループは、平成15年1月につくば市(茨城)で同財団・心と遺伝子研究会と吉本興業(株)の共催で開かれたイベントで、「笑い」が「2型糖尿病」(膵臓でインスリンはつくられるがその働きが悪い)患者の食後血糖値を著しく抑制することを見出し、その後分子生物学的検証に関する研究を続けてきた。
 腎症(糖尿病合併症の一つ)の原因となるタンパク質の一つにプロレニンがあるが、このタンパク質の血中濃度は糖尿病患者で高い値を示すことが知られている。研究グループは、これまで3回にわたって2型糖尿病患者の協力を得て、40分間の漫才鑑賞の前後にデータをとったところ、平均で1dL(デシリットル)当たり 25mgの食後血糖値の上昇が抑制されることを確認した。また、「笑い」には、血中プロレニンの値を低減させる作用があることも見出した。
 研究グループは、白血球の網羅的遺伝子の発現解析を行い、プロレニン受容体の遺伝子スイッチが糖尿病患者でオフ傾向にあることを見つけた。さらに、「笑い」によってこのスイッチの状態がオンになる遺伝子も特定した。その中には、糖尿病の合併症を防ぐ重要な遺伝子が含まれていた。
 この研究成果は、今年6月英国の専門誌「ジャーナル・オブ・サイコソマチック・リサーチ」に掲載された。