(独)農業環境技術研究所は11月22日、千葉県農業総合研究センター、日本アルコール産業（株）と共同で、2％程度の低濃度エタノール（エチルアルコール）をまいて広範囲の土壌病害虫などを防除する、低コストの土壌消毒技術を開発したと発表した。
  農耕地の連作で発生する土壌病害虫を防除するため、我が国では臭化メチルによる土壌くん蒸消毒が広く行われてきたが、臭化メチルはオゾン層破壊物質で、モントリオール議定書締約国会議では、代替不可能な用途を除いて2005年に使用が禁止された。
　このため、臭化メチルに替わる新たな土壌消毒技術が求められていたが、同研究所では原料アルコールの蒸留精製時に生じる副生アルコール、もしくは原料アルコールを水で2％程度に薄め、かん水装置により畑の土壌が湛水状態（たんすいじょうたい＝水に浸かった状態）になるまで処理した後、農業用ポリエチレンフィルムで土壌表面を1週間以上覆う方法を開発した。
  エタノールは、土壌中では数日で分解消失するため環境への負荷が小さく臭気もない。エタノールによる殺菌・殺虫効果などの直接的な防除効果は期待できないが、細菌、糸状菌、線虫、土壌害虫、雑草に至る広い範囲の土壌病害虫などに対し防除効果が得られており、低コストで簡単に土壌消毒が可能になったという。

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