筑波大学大学院数理物質科学研究科の門脇和男教授らの研究チームは11月22日、光と電波の境界領域に入る「テラヘルツ波」と呼ばれる電磁波を出す超電導素子を開発したと発表した。
テラとは、1兆のこと。周波数が1兆ヘルツ前後の領域の電磁波をテラヘルツ波と呼び、光と電波の性質を併せ持つことから非金属や生体の非破壊検査や超高速通信、バイオテクノロジー(生物工学)など広範な用途が期待されている。
しかし、テラヘルツ波は、発振するのが難しく、有効な発振素子が見つかっていない状況にある。
門脇教授らは、銅酸化物系高温超電導体の単結晶を使い、マイナス233~253ºCの低温下で強力なテラヘルツ波を連続発振する超電導素子を開発することに成功したもの。
テラヘルツ波の周波数の幅は、明確には定義されておらず、一般に0.3~10テラヘルツの領域をさすが、新開発の超電導素子は素子の加工形状によって発振周波数を容易に制御することができるという。
この研究成果は、11月23日発行の米国の科学誌「サイエンス」に掲載された。
No.2007-46
2007年11月19日~2007年11月25日