高速充放電が可能なリチウムイオン電池用新電極材料を開発
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は11月19日、高速充放電できるリチウムイオン電池の正極(プラス極)材料として有望な「単結晶マンガン酸リチウム」のナノワイヤーを開発したと発表した。
  リチウムイオン電池は、現在ハイブリッド自動車に利用されているニッケル水素電池よりも貯蔵電気エネルギーが大きいが、高速で充放電できないという問題があり、また正極には高価なコバルトが使われている。マンガン酸リチウムは、コバルトより安く、新開発のナノワイヤーは電気自動車用の次世代リチウムイオン電池などへの利用が期待される。
 電極は、微細な構造の多孔質であればあるほど、高速充放電が可能になる。しかし、マンガン酸リチウムは、微細化しても凝集して大きな粒子になってしまうため正極にするのは難しいと考えられていた。
 今回、同研究所が開発したマンガン酸リチウムのナノワイヤーは、直径50~100nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)のスピネル構造の単結晶で、ナノワイヤー化して不織布状の構造にすることで凝集を防ぎ、多孔質化に成功した。リチウムイオン電池の正極に使ったところ、超高速充放電でも90%の充放電容量を維持できることが分かったという。
  今後は、ナノワイヤーの大量合成技術などの研究を進める計画だが、協力を希望する企業があれば共同で進めたいとしている。

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