植物が糸状菌を認識し反応するのに関わる遺伝子を発見
:農業・食品産業技術総合研究機構/明治大学/理化学研究所/岡山県生物科学研究所

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構は11月20日、明治大学、(独)理化学研究所、岡山県生物科学研究所の研究グループが、植物が糸状菌(カビ、病原菌)を認識して防御応答を引き起こすために必要な植物タンパク質と、それを作る遺伝子を突き止める(同定する)ことに成功したと発表した。
 植物病害の約8割は、糸状菌の仲間によって引き起こされる。植物は、糸状菌や細菌などの特徴的な分子群を認識し、様々な防御応答を開始する能力(免疫)を持っていることは知られていたが、それらの分子を認識し反応する受容体については明らかにされていなかった。
 今回、研究グループは、シロイヌナズナ変異体を用いた解析から、糸状菌に特徴的な分子を認識するタンパク質の遺伝子を同定し、そのタンパク質を「CERK1」と命名した。また、同定した遺伝子が働かなくなると、糸状菌を認識し防御応答することができなくなるばかりでなく、糸状菌に感染したときの抵抗性も落ちることが分かった。こうしたことからこの遺伝子は、糸状菌に対する免疫反応で重要な役割をしていることが明らかになった。
 この研究は、同機構が実施する基礎研究推進事業の委託研究課題「イネにおける病原菌感染シグナルの受容・伝達機構」で行われた。
 この研究成果は、米国科学アカデミー紀要オンライン版(11月19日)に掲載された。

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