空間に立体動画を描く技術の高性能化に成功
:産業技術総合研究所/バートン/浜松ホトニクス

 (独)産業技術総合研究所、(株)バートン、浜松ホトニクス(株)は7月20日、3者共同でレーザー光を使って空間に立体動画を描く技術の高性能化に成功したと発表した。レーザー光の焦点で空気中の酸素や窒素の分子をプラズマ発光させ、それを素早く繰り返すのが描画の仕組み。昨年2月に産総研、バートンなどが基本技術を発表した時は、まだ1秒間に300個ほどしか発光点が作れなかったため、滑らかな動画は描けなかった。今回、新レーザーの使用で1秒間1000個の発光点が可能になり、描画がずっとスムーズになった。
 (独)産総研、バートン、慶応大学が開発したこの「空間立体描画」技術は、スクリ-ンがいらず、3次元スキャニングシステムで正確にレーザー光の焦点位置を決め、任意空間に光のドット(点)を作る。1ドット当たりのパルス数を制御することで、発生するプラズマの輝度、コントラストを制御できる。
 今回の高性能化は、浜松ホトニクス開発の高強度フェムト秒全固体レーザーシステムをベースにして達成した。1秒当りの発光数が大幅に向上したことにより、3次元描画がスムーズになったばかりでなく、動画表現の自由度が大きくなった。実験では、カタカナの「イ」の文字や蝶などを描くことに成功している。立体テレビや次世代広告媒体への応用が期待される。

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空間に描いた「イ」の字。大きさは、約40cm(提供:産業技術総合研究所/バートン/浜松ホトニクス)