(独)森林総合研究所は7月11日、シベリア内陸部(ロシア)のバイカル湖の湖底堆積物中に含まれていた化石花粉から、過去35万年間の亜寒帯針葉樹林(タイガ)の歴史が明らかになった発表した。 バイカル湖は、約3,000万年の歴史を持ち、流出河川がほとんどない準閉鎖系の湖で、湖底の堆積物には過去の環境に関する記録が多く含まれている。その分析から過去のシベリアの植生変化や周期性を解明したもので、シベリアの植生変化の周期性を詳細に示したのはこれが世界でも初めて。 バイカル湖で掘削した湖底堆積物試料の中に含まれる化石花粉の種類と量を調べたところ、周辺は約10万年周期でマツ・トウヒ・カラマツ属を主とするタイガに覆われたが、それは1万年ほどしか続かず、大半の時期はツンドラ植生やほとんど植生のない状態が広がっていた。また、この10万年周期の中にも、いくつかの寒冷期と温暖期があり、それに対応して森林の縮小と拡大を繰り返していたことが分かった。 将来の森林分布を予測するには、過去の気候と植生変化に関する情報が重要だが、現在より温暖であったとされる約12万年前、バイカル湖周辺では温暖・湿潤の環境を好むシベリアモミの分布が拡大したことも分かり、今後の温暖化によるシベリア地域の植生変化を高精度で予測する重要な成果として注目されている。 詳しくはこちら |  |
バイカル湖の湖底堆積物に含まれていたマツ属の化石花粉の拡大写真(提供:森林総合研究所) |
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