(独)農業生物資源研究所は7月12日、岡山大学などと共同でイネのケイ酸吸収を司る新規遺伝子を同定(決定)し、ケイ素を効率よく吸収するイネの仕組みを解明したと発表した。
イネは、植物の3大栄養素である窒素、リン、カリウムより多量のケイ素を体内に取り込み、葉、茎、穂などに5%以上ものケイ素を集積する。イネは、このケイ素が不足すると、光合成能力が低下して米の生産性が著しくダウンするほか、倒れたり、病虫害に対する抵抗力が弱くなる。
同研究グループは、イネの高いケイ酸吸収能に関与する遺伝子を単離するため、イネのケイ酸吸収がなくなる突然変異体を探し出し、その変異体を利用してイネのケイ酸吸収を司る遺伝子を世界で初めて同定した。
この新規遺伝子の発現量は、根の周りのケイ酸の有無によって変動し、ケイ酸がない場合は十分にある場合の4倍に増加することが分かった。
同定した新規遺伝子は、農作物の品種改良に大きく貢献すると同研究所では見ており、たとえば、この遺伝子を他の植物に導入してケイ酸吸収能を遺伝的に変えてやれば病害虫など複合ストレスに強い作物を作り出すことが可能という。
この成果は、7月12日発行の英国の科学誌「ネイチャー」に掲載された。
No.2007-27
2007年7月9日~2007年7月15日