世界初、高純度トコトリエノールの連続生産技術を開発
:農業・食品産業技術総合研究機構

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構は7月12日、同機構の東北農業研究センターと東北大学、三和油脂(株)、オルガノ(株)との研究グループが、米ぬかからの米油の製造過程で排出される廃棄残渣(残りかす)を利用し、95%以上の高純度トコトリエノールを工業的に連続生産する技術を世界で初めて開発したと発表した。
 トコトリエノールは、ビタミンEの一種で、ビタミンE一般にみられる抗酸化作用のほか、ヒトでのコレステロール低下作用や動脈硬化などの予防にも効果があるとされている。「スーパービタミンE」とも呼ばれ、今後大きな需要が見込まれているが、現在の技術では純度60%以下のものが少量しか製造されておらず、高純度で大量供給できる技術の開発が求められていた。
 研究グループは、トコトリエノール生産の有望作物として知られるイネに注目し、米油の製造の最終工程で排出される残渣の脱臭スカム油を原料とした。脱臭スカム油には、トコトリエノールが比較的多く(約2%)含まれている。そして、工業的クロマト分離技術(クロマトグラフィー=吸着を利用して混合物を分離する技術)の一つで、糖類の分離などにも利用されている多成分分離方式擬似移動層クロマトグラフィーという技術を適用し、高純度(純度95%以上)のトコトリエノールを連続製造する技術を開発した。回収率は、80%以上を記録している。
 トコトリエノールは今後、食品や医薬品、化粧品などへの利用が期待されている。

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