ナノ空間を利用した抵抗スイッチを開発
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は6月19日、シリコン基板上に作製した約10nm(ナノメートル=1nmは100万分の1mm)の微小間隙(かんげき)を有する金電極(ナノギャップ電極)に電圧をかけることによって、金属原子の物質移動を介した抵抗スイッチ効果が現れることを見いだしたと発表した。
 半導体メモリーには、電源を切ると内容が消去される揮発性メモリーと一度記憶すると電源のバックアップなしに内容が保存される不揮発性メモリーがある。近年、高速動作や高集積化、低消費電力などを目指し、ナノスケール空間を利用した抵抗スイッチなど次世代不揮発性メモリーの研究が盛んに行われている。
 産総研が、今回発見した抵抗スイッチ効果は、ギャップサイズが約10nm以下でのみ作動し、ナノスケール特有の現象であることが分かった。また、スイッチに伴う抵抗変化のオン・オフ比は最大で10の7乗にも達し、状態間の変化を1万回以上繰り返しても動作し続けた。
 このスイッチ効果は、ナノスケールで発現し、微細化のサイズ限界が微細配線加工のみであるため、超小型不揮発性メモリーの実現が期待できる。また、シリコン酸化膜基板上で動作可能であり、絶縁体上の金属という構造は様々な素子の配線部で用いられる構成なので、既存のシリコンテクノロジーとの整合性がよく、新たに高価な製造装置を開発しなくても、超小型不揮発性メモリーが開発できる可能性がある。産総研では次世代不揮発性メモリー実現のため、さらにスイッチ効果発生のメカニズム解明の研究を進めている。

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