衛星画像で火山噴火による火口の陥没量などを推定
:産業技術総合研究所

  (独)産業技術総合研究所は5月16日、NASA(米航空宇宙局)の地球観測衛星「Terra(テラ)」に搭載された我が国の経済産業省開発の高性能光学センサー「ASTER」を使い、インド洋の火山島、レユニオン島(フランス領)のフルネーズ火山で起きた噴火による火口の陥没量や噴出した溶岩の堆積面積を推定することに成功したと発表した。
  フルネーズ火山は、2007年3月に南東山腹から噴火し、4月には大量の溶岩が噴出、海岸まで到達し海面を埋め立てた。また、4月7日には、山頂火口が長さ1000m、幅700mにわたって最大340m陥没したことが報告されたが、遠隔地であることから噴火の詳細についての情報は十分ではなかった。
  産総研は、ASTERを使って世界の900以上の活火山を観測しているが、フルネーズ火山は世界でも最も活発な火山の一つで、重要観測対象として年間昼間8回、夜間10回の観測要求を(財)資源・環境観測解析センターに提出している。今回も同解析センターと協力し4月25日から5月6日まで、昼間6回、夜間2回の緊急観測を実施した。
 火口の画像を解析し、過去の画像と比較したところ火口が最大320m陥没しており、その体積は約9600万m³であることが明らかになるなど、火口の陥没量や噴出した溶岩の堆積面積の推定に成功、データを現地観測所に提供した。これらの観測結果は、火山の噴火機構の解明や火山災害の軽減に役立つものと期待されている。
 今後も引き続きASTERによる観測・解析研究を実施し、噴火活動を監視することにしている。

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