長寿命の青色蛍光体を開発、次世代薄型テレビに朗報
:物質・材料研究機構

 (独)物質・材料研究機構は3月26日、次世代の薄型テレビ候補として注目を浴びている「フィールド・エミッション・ディスプレー(FED=電界放出型ディスプレー)」に適した長寿命の青色蛍光体の合成に成功したと発表した。青色蛍光体の最大の課題である劣化がこれまでの3分の1以下であることを確認済みで、今後、企業の協力を得て信頼性を評価し、1年後にFEDに適用することを目指している。
 FEDは、ブラウン管同様に電子線を当てて発光させる仕組みで、酸化物蛍光体を用いた平面ディスプレーの開発が内外で進められている。しかし、高いエネルギーの電子線で発光させるため、長時間使用すると発光強度が劣化し、特に青色蛍光体は耐久性の向上が望まれていた。
 開発された青色蛍光体は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化ユーロピウム粉末を混合し、窒化ホウ素製るつぼに入れ、10気圧の窒素中で2050℃の高温で反応させて作る。この蛍光体に加速電圧5KVの電子線を当てると、波長470 nm(ナノメートル=1nmは10億分の1m)の青色を発光する。
 この青色蛍光体は、化学的安定性や耐久性も優れており、ブラウン管型テレビ同様の高画質のFEDが期待される。FEDは、高画質な上に応答性に優れることから液晶やプラズマの次に来る薄型テレビの有力候補の一つに挙げられている。

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新開発の青色蛍光体の発光特性(提供:物質・材料研究機構)