(国)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月19日、地球を周回している同機構の陸域観測技術衛星2号「だいち2号」を使って実施した噴火警戒が続く桜島(鹿児島)の緊急観測の結果を発表した。
「だいち2号」は、H-ⅡAロケットで2014年5月24日に打ち上げた地表を観測する衛星。高度約630kmで地球を1日に約15回回って合成開口レーダー(SAR)と呼ばれるマイクロ波を用いたレーダーにより昼も夜も悪天候時も休みなく地表を観測、その観測データは地図の作製、地域の観測、災害状況の把握、資源の探査などに広く使われている。
今回の桜島観測は、火山噴火予知連絡会から要請を受け、8月16日の夜と、翌17日の昼に「だいち2号」に搭載のSAR「PASAR-2」を使って行われ、「干渉SAR解析」という解析方法によって地表の変位、つまり地面がどれだけ動いたかを調べた。
干渉SAR解析は、2回の観測データの差をとることにより地表の変位を測定する方法で、「だいち2号」の2015年1月4日と同8月16日の観測データの差から、「桜島の南岳山頂火口の東側の広い範囲で最大16cm程度の衛星方向(「だいち2号」の方向)に近づく変位があったことが確認された」としている。
JAXAは、この緊急観測の結果を国土地理院や関連防災機関に提供済みで、今後も「だいち2号」による観測を継続して桜島の監視に貢献していきたいといっている。

「だいち2号」による桜島の干渉SAR解析の画像(提供:JAXA)