国立研究開発法人産業技術総合研究所は4月22日、放射光による反応と化学反応とを組み合わせ、従来より小さな原子十数個から成る遷移金属ナノ粒子を合成する技術を開発したと発表した。ナノ触媒、ナノインク、ナノ配線などへの利用が期待できるという。
■触媒やインク、配線などの利用へ
極限的な超微粒子ともいえる原子10~20個程度で構成されるナノ粒子は「ナノクラスター」と呼ばれ、特異な新機能を持つ素材として注目されている。なかでも鉄、コバルト、ニッケル、銅といった、いわゆる後期遷移金属の原子から成るナノクラスターが関心を集め、合成法の開発が課題になっている。
産総研は今回、高エネルギー加速器科学研究機構(KEK)と協力し、放射光施設で得られるX線領域の放射光を利用したナノクラスター成長技術を開発した。
新技術は、放射光で原子を選択して局所的に還元し、化学反応条件を調整することによってナノクラスターを成長させるというもの。実験では銅原子13個から成るナノクラスターを安定的に得ることに成功した。
今後はいろいろな元素のナノクラスターを合成し、それぞれの特性を調べたいとしている。