膨らみの良いパンが作れる水稲品種を開発
:農業・食品産業技術総合研究機構(2015年4月1日発表)

 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構は4月1日、膨らみの良い米粉パンが作れる水稲の新品種「こなだもん」を開発したと発表した。

 この水稲は、普通の食用の米から作るより粒径の小さい米粉が得られるのが特徴。出穂の時期や収穫時期などが西日本地方で多く栽培されている水稲「ヒノヒカリ」に近いことから、「西日本での栽培に適している」という。

 穀物は、粉砕時に圧力など物理的な力を受けると、内部のデンプン粒が損傷して吸水性や酵素感受性が高まるため、米粉パンにはデンプンの損傷の少ない米粉が適している。新品種「こなだもん」は、その製粉時のデンプンの損傷が「コシヒカリ」の半分以下(2.1%)と少ない。

 米粉パンには、粒径が75μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)以下の米粉が向いているとされているが、「こなだもん」を使えばもっと細かくでき、約35μmという米粉が得られている。

 既に、兵庫県内の農業団体が「こなだもん」の試験栽培を開始しており、同県内の生協がその米から作った米粉を10%含んだ米粉パンの試験販売に入っている。

 同機構は、「平成27年度から段階的に生産が増え、将来的には100ha(ヘクタール、1haは1万㎡)以上の作付けが見込まれる」とみている。

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「こなだもん」の米粉と米粉パンの特性。デンプンの損傷が少なく、粒径も小さい。同じ量の生地からできるパンの容量を表す比容量は、コシヒカリより大きく、フワフワ感・膨らみも良い(提供:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)