筑波大学は4月3日、週250分以上、1日あたり平均約35分以上、中高強度の身体活動をすると、非アルコール性脂肪性肝疾患の病態を改善できるとする調査結果を発表した。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、飲酒歴はなくとも肝細胞に脂肪が蓄積して肝機能障害を引き起こす病態のことで、内蔵型肥満に関連したNAFLDは近年増加傾向にある。
■肝臓での脂肪蓄積や炎症、酸化ストレスを抑止
肥満の減量に関しては、米国スポーツ医学会が週250分以上の中高強度の身体活動が有効と推奨しているが、NAFLDに有用な運動療法の手法はまだ確立されていない。そこで、筑波大のチームは今回NAFLDの改善に有効な中高強度の身体活動量やその作用などを調査した。
調査は、2009~2013年に同大学主催の「減量」に参加した31歳~67歳の男性で肥満度(BMI)25~49のNAFLD肥満者169人を対象に行った。日常の身体活動の長期データをもとに、中高強度の身体活動量を週150分未満、同150~250分、同250分以上の3段階に分類して改善度などを調べた。
中高強度の身体活動とは、エネルギー消費量が安静時の3倍以上の運動のことで、歩行、ボーリングなどの運動が中強度、山登り、エアロビックス、ランニングなどの運動が高強度にあたる。
調査の結果、身体活動量を増やすほどNAFLDの肝病態の改善につながること、とりわけ週250分以上の中高強度身体活動の実践は、肝臓での脂肪蓄積、炎症、酸化ストレスを抑止する効果があることが確認された。また、その効果は体重減少とは独立に作用することが認められたという。
中高強度身体運動が体重減少を介さずにNAFLDの肝脂肪蓄積と病態を改善する独立した因子であることを見出したのは初めてで、運動処方への意義は大きいとしている。