航空機用電動推進システムの飛行試験開始
―「動力回生」など独自技術の試験も成功
:宇宙航空研究開発機構(2014年12月22日発表)

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飛行試験用の機体に搭載された電動推進システム(提供:JAXA)

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は12月22日、研究開発を進めている航空機用電動推進システムの飛行実験を開始と発表した。11月に電動化したモーターグライダーでジャンプ飛行に成功。12月10日には飛行中にモーターを発電機として使う電力回生試験など、JAXAが独自に開発した技術の実証試験にも成功している。JAXAは今後、高い高度での長時間実証実験を行い、より詳細なデータ取得を目指す。

 

■続距離やペイロードの増大など課題

 

 航空機の電動化は燃費や整備費を大幅に低減できる将来の革新技術の有力候補とされ、JAXAは航空本部でわが国の電動化航空機開発推進事業(FEATHER事業)を進めてきた。これまでに開発した航空機用電動推進システムの飛行試験用機体への搭載、地上試験も終わり、航空局の試験飛行許可も得られたので、同事業は一段と前進、今度の飛行試験段階に入った。

 初飛行のジャンプ飛行は11月28日に茨城県の大利根飛行場で行われた。使用した機体は単座のモーターグライダー。容量75A時のリチウムイオン電池で出力60kwの永久磁石型同期モーター駆動のプロペラを回して飛んだ。JAXAは電動航空機の利点として燃費や整備費の削減や排出ガスや振動の低減などを挙げているが、航続距離やペイロードの増大、耐久性基準の整備などが今後の課題としている。

 JAXAは電動航空機の将来発展の筋道を、①数年中に現在の電池性能で成立するスカイスポーツ用機や無人機が実用化、②5~10年後には次世代二次電池を使った非定時/分散型のエアタクシーや自家用機が実現し、③10~20年後には燃料電池システムの技術進歩で通勤用などのコミュータ用途が実用化、④20~30年後にはさらなる技術革新で100席程度の地域ルート用の航空機まで電動化は拡大する、とみている。

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