貴金属と酸化物を接合したナノ粒子生成法を開発
―異種接合による新機能物質の創出が期待
:産業技術総合研究所 (2014年11月11日発表)

 (独)産業技術総合研究所は11月11日、貴金属と酸化物が接合したナノ粒子の生成技術を開発したと発表した。異種ナノ粒子の接合による新たな特性、機能の発現が期待できるという。

 

■「マッチ棒」状態の接合粒子に

 

 新規な機能の創出を目指して近年、異種のナノ粒子の接合がいろいろと試みられている。しかし、複雑な化学反応工程や金属カルボニルなどの危険な原料を必要としたり、用途によっては表面汚染が起きないクリーンな条件下での接合法の開発が必要とされるなど、異種のナノ粒子の接合を作ることは容易でない。

 産総研のチームが今回開発した生成法は、卑金属と貴金属の合金のナノ粒子を急激に酸化させるだけのシンプルな方法。

 実験ではまず、強いレーザー光を当てて金属表面を蒸発させるレーザーアブレーションという方法を用いて卑金属のニッケルと貴金属の金、または白金とをヘリウムガス中で蒸発させ、ニッケル-金合金ナノ粒子とニッケル-白金の合金ナノ粒子を作成した。

 次に、二重の石英管を用い、外側の管にヘリウムガス中を流動する合金ナノ粒子を流し、内側の管に酸化用の酸素ガスを供給し、両者を外部から管状炉で所定の温度まで加熱して合金ナノ粒子と酸素ガスを一気に混合する、というプロセス作って急激に酸化させた。

 その結果、急激な酸化をさせることにより、酸化ニッケルが角棒状のナノロッドになり、その端に金ナノ粒子が接合した「マッチ棒」状形態の貴金属・酸化物接合ナノ粒子を得ることに成功した。

 この技術を用いると、ナノメートルスケールの貴金属と酸化物の接合が複雑な化学プロセスを使うことなく可能であり、異種接合による新機能物質の創出が期待できるとしている。

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図

金(Au)と酸化ニッケル(NiO)の結合したマッチ棒状態のナノ粒子の透過型顕微鏡写真。左は単体、右が複数。金の結晶格子面と酸化ニッケルの結晶格子面が並行になるように接合している(提供:(独)産業技術総合研究所)