CIGS薄膜で世界最高効率18.34%を達成
―次世代太陽電池の性能向上へ
:産業技術総合研究所

変換効率18.34%のCIGS太陽電池サブモジュールの外観(基板サイズ:3cm×2cm) (提供:産業技術総合研究所)

 (独)産業技術総合研究所は9月26日、化合物半導体を使ったCIGS太陽電池で光を電気に変える変換効率を世界最高の18.34%にすることに成功したと発表した。太陽光を効率よく吸収する薄膜技術などを開発して高性能化した。柔軟でフレキシブルな大面積太陽電池の実現や発電コストの低減につながると期待される。

 

■光の吸収率上げる製膜技術を開発

 

 CIGS太陽電池は銅とインジウム、ガリウム、セレンの化合物半導体の薄膜を光の吸収層に使った太陽電池。薄膜系太陽電池の中で最も高い変換効率が得られるため、次世代太陽電池として注目されている。
 今回開発したのは、商用の太陽電池パネルを構成する際の基本単位となる「サブモジュール」。縦2cm、横3cmのガラス基板の上に透明な電極や光を吸収するCIGSの薄膜などを積層、4つの太陽電池を形成して直列に接合した。
 こうした集積構造を作る際に、一般に太陽電池のつなぎ目に光が当たっても発電しない部分が残り、変換効率向上の障害になる。これに対し今回は、このつなぎ目の形状を最適化するなどして発電ロスを最小限に抑えた。また、CIGS薄膜の表面について平たん性を高めて光の吸収率を上げる高品質製膜技術などを開発、これらの技術を融合して初めて18%を上回る変換効率を実現した。
 工場の生産ラインで作られる量産段階のCIGS太陽電池パネルは、縦126cm、横98cmで14.6%の変換効率が実現している。今回、サブモジュール段階での効率が向上したことで、商用レベルの太陽電池パネルの効率向上が期待される。

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