ハワイ接近のハリケーンは今世紀末に2~3倍に
―地球全体の大気循環や海洋、陸地の変化も入れて予測
:筑波大学/気象研究所/米・ハワイ大学

 筑波大学と気象庁気象研究所、ハワイ大学の研究グループは5月6日、ハワイに接近するハリケーンの数が今世紀末までに現在の2~3倍に増加するとの将来予測の結果を発表した。日本のスーパーコンピューター「地球シミュレーター」を用いて計算した結果明らかになったもので、地球温暖化の影響で長期的にハリケーンが増加する気候変動が起きる可能性が高くなることが示されたとしている。

 

■過去30年で近づいたのは8個

 

 研究グループは今回、地球全体の大気の循環や海洋、陸地、雪氷の変化も考慮に入れながら、将来の気候変動を20km程度の比較的小さな単位で計算できる最先端の高解像度全球気候モデルを使ってハワイ周辺の気候変化について計算した。
 その結果、2075年~2099年にハワイ付近に接近するハリケーンの頻度は、1979年~2003年の平均に比べて2~3倍程度にまで増加することがわかった。ハワイ周辺では過去30年間に近づいたハリケーンの数は8個と比較的少なかったが、いったん近づくと大きな被害をもたらす可能性があるとされている。
 これまで、地球温暖化が進んだときに台風やハリケーンなどの熱帯低気圧の数や強度が地球全体でどう変化するかについては数多くの研究が進められてきたが、地域を限定した場合については不確実性が高いとしてあまり議論されてこなかった。
 しかし、今回の研究では、将来の温暖化の進み具合など複数の実験設定のどのケースでもハリケーンの頻度が増加することが確認された。このため研究グループは、ハワイ周辺に限って予測した今回の結果についても「不確実性は少ないと評価される」と話している。
 この研究成果は英国の科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」のオンライン版で5月6日(日本時間)に掲載された。

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