(独)国立環境研究所は2月13日、船舶上で大気中の酸素濃度の空間分布や時間変化を長期間にわたって継続観測することに成功したと発表した。
同研究所は、地球温暖化研究プログラムを推進しているが、その一環として船の上で酸素濃度の精密測定が行える計測システムを新たに開発して実現した。
大気中酸素濃度の観測は、1980年代後半から行われているが、近年注視されているのが大気‐海洋間の酸素循環の観測。海洋中の溶存酸素濃度が低下しつつあることが多くの観測から明らかになっており、その海洋脱酸素化による溶存酸素濃度の低下が海洋生態系や漁業に及ぼす影響が心配されている。
このため、洋上における長期にわたる大気酸素濃度の観測が海洋脱酸素化の要因分析や将来予測の上から重要になってきている。
今回の成果は、ガスクロマトグラフ法を使った大気酸素濃度の船上観測システムを新たに開発し、大洋を航行する定期船上での長期観測を可能にしたもので、大気酸素濃度の詳細な時間分布を得ることができるようになった。
従来のガスクロマト法は、揺れの影響を受けるため船上では精密な酸素濃度計測が難しかったが、この問題を解決したことで船舶上でも地上と同等の測定精度、プラス・マイナス1ppm(ppmは100万分の1)で観測が行えるようになったという。
No.2012-7
2012年2月13日~2012年2月19日