日々の線量を記録できる個人向け小型線量計を開発
:産業技術総合研究所

 (独)産業技術総合研究所は2月13日、バッジやストラップのように身に着けて日々の放射線線量を記録できる個人向けの小型放射線積算線量計を開発したと発表した。ボタン電池1個で最長半年間の連続使用が可能で、一定時間の被ばく線量が記録できるほか、線量が高い場所ではブザーなどで警報を発してくれる。子供達が無用な被ばくを受けなくても済むよう、早期の実用化を目指したいとしている。
 開発した線量計は、バッジ型とストラップ型の3種類。重さは10~20g、大きさは縦横25~50mm程度と小型軽量。子供達に負担のない形で身に着けさせられる。線量計本体は、ガンマ線を半導体でとらえる方式で、0.1マイクロシーベルト(マイクロは、100万分の1)まで測定可能だ。一定時間(1時間や1日)ごとの積算線量を自動的に記録でき、パソコンなどにデータを取り込んで被ばく量の推移をいつでも見られる。
 産総研は今後、一層の省電力化や計測線量の信頼性向上、量産化技術の確立に取り組むと共に機能の充実も進める。たとえば、無線機能付きの線量計を開発してパソコンに取り込み、手間なしに直接スマートフォンで日々の線量が把握できるようにする。
 また、GPS(全地球測位システム)機能と組み合わせて、日常生活をしながら自宅周辺などの放射線量の分布やホットスポットが自動的に調べられるようにする。個人が無用な被ばくを避ける行動をとったり、自治体が効果的な除染計画を策定したりするのに役立つと期待している。

詳しくはこちら

新開発の小型放射線積算線量計(左と中央)。右は、大きさ比較のためのSDメモリーカード(提供:産業技術総合研究所)