昆虫1000種の遺伝子解析する国際プロジェクトを開始
:筑波大学

 筑波大学は1月17日、昆虫類の進化の道筋を探る国際プロジェクトを海外の7つの研究機関と共同で開始したと発表した。
 昆虫の8割以上を占める完全変態類から、翅(はね)を持たない原始的な昆虫まで主要1,000種類について遺伝子を解析し、100万種を超えるといわれる昆虫類の系統を明らかにする。自然生態系の中で重要な役割を担い、多様性にも富む昆虫類の遺伝子解析が進めば、自然環境保全や新薬開発などにも役立つ。
 筑波大学の菅平高原実験センターが、ドイツ4機関、オーストリア1機関、米国1機関、中国1機関と共に世界8つのコア研究拠点の一つとして研究に取り組む。開始したのは、1,000種を意味する「1K」と、生体内でたんぱく質を作っている全遺伝子を意味する「トランスクリプトーム」を組み合わせて名付けた「1K昆虫トランスクリプトーム進化プロジェクト」。
 生物の全遺伝子を解析して進化の系統を調べる研究は、近年急速に進んだが、昆虫については脊椎動物に比べ大幅に遅れていた。ただ、昆虫は、現在知られている生物種の内半分以上を占めるといわれており、プロジェクトの成果が得られれば、昆虫の進化の道筋解明など学問的な貢献にとどまらず、環境保全や農業、医学などの分野で昆虫やその生体物質を利用する技術の開発などが期待される。

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