(独)建築研究所は12月15日、大地震時に家屋が激しく揺れて倒壊する過程を、柱の折損や部材の飛散まで含めてシミュレーションできるプログラムを開発、フリーソフト(名称:wallstat)として公開したと発表した。
　このソフトを利用すると、パソコン上で地震動を与えて建物の挙動や損傷状況などを視覚的に把握できる。実験の難しい建物の振動台実験シミュレーションに用いたり、巨大地震時の安全性確認などに広く活用できるという。
　開発したのは、柱や梁で構造を支える伝統工法とも呼ばれる木造軸組構法で建てられた住宅の数値解析プログラム。木造住宅が大地震で倒壊するまでの挙動を再現するには、柱が折れ部材が飛散するなど、家屋を構成している構造部材がバラバラになっていく現象を考慮する必要があるが、従来の解析手法では困難とされてきた。
　建築研は、今回、バラバラな物体の挙動を計算できる個別要素法という非連続体解析法を基礎に住宅用の独自の解析手法を作成、家屋倒壊過程のシミュレーションを可能にした。建物が一部破壊し、さらに倒壊しても計算を続行できるのが大きな特徴で、解析と実験の数多くの比較データをプログラムに反映させて精度を高めた。その結果、実物大の木造住宅の振動台実験における挙動を倒壊に至るまで高精度に解析できるようになったという。
　建築研のホームページに公開した「wallstat」は、使い勝手などがまだ洗練されていないため、利用者の意見を取り入れたりして改良を加え、実用性を高めたいとしている。

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