(独)農業・食品産業技術総合研究機構は12月14日、同機構の九州沖縄農業研究センターが、ビタミンCの含量が高く、果実品質と収量性に優れたイチゴの促成栽培向き新品種「おいCベリー」を育成したと発表した。 新品種のイチゴの名称「おいCベリー」は、ビタミンCを多く含む美味しいイチゴ品種であるという意味から名付けられた。 現在栽培されているイチゴ品種には、100g当たり約60mgのビタミンCが含まれているが、大半のイチゴは生食(なまで食べること)により消費され、ビタミンCは破壊されずに吸収される。このため、イチゴは、冬季のビタミンCの供給源として重要な作物とされている。その一方で、食品の健康維持機能に対する消費者の関心が高まっており、イチゴにおいてもビタミン含量がさらに高い品種の育成が望まれていた。 「おいCベリー」に含まれているビタミンCは、現在市販の品種の中で最も多い「さちのか」の約1.3倍、主要品種「とよなか」の約1.6倍もあり、高抗酸化活性を有している。このため「おいCベリー」7粒で、1日分として必要なビタミンCを摂取することが可能である。 ビタミンC は、皮膚や粘膜の健康維持を助けると共に、抗酸化作用を持つ栄養素で、成人の1日の栄養所要量は100mgとされている。抗酸化活性は、自らが酸化されることにより、共存する他の物質が酸化することを防止する機能がある。抗酸化活性を有する成分は、生活習慣病の予防やアンチエイジング(抗老化)に有効であることを支持する科学的データが蓄積されつつあり、注目を集めている。 「おいCベリー」の果実は、大きく濃赤色で光沢があって、日持ち性に優れており、「さちのか」よりも糖度が高く、酸度は同程度で食味も良好。また、「とよなか」並みの早生で促成栽培に適しており、玉出し作業(果実の着色を良くするために、太陽光が果実に当たるように葉を支持具で立てたりするなどの作業)も必要がなくなり、今までにないビタミンCの高い含有の品種として普及拡大が期待できる。 現在。長崎県、佐賀県、岡山県などで試作が行われている。 詳しくはこちら |  |
イチゴの新品種「おいCベリー」(提供:農業・食品産業技術総合研究機構) |
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