(独)国立環境研究所は11月5日、大気と海洋の間の二酸化炭素(CO2)の吸収・放出(CO2フラックス)を推定する新たなモデル計算手法を開発、より信頼性の高いCO2フラックス推定値を算出したと発表した。
新手法は、計算に観測情報を入力・反映させる「データ同化」を行うことで、これまでより誤差の小さい確度の高いモデル計算を可能にした。発表によると、年間の海洋のCO2吸収は、14.8億t(炭素換算)と推定され、南極海のみで年間4.1億t(同)のCO2を吸収していることが示されたという。
また、全地球の海洋によるCO2吸収量の年々変動幅は、約4億t(同)と推定され、南米ペルー沖の海水温が上昇する「エルニーニョ現象」が観測された1997~1998年と2003~2004年には東部太平洋熱帯域で約4億t(同)のCO2が放出されたとしている。
この研究で得られたCO2フラックスの推定結果は、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)プロジェクトの入力データとして使われる予定で、地球規模の炭素収支解明に役立つものと期待されている。
No.2010-43
2010年11月1日~2010年11月7日