「竜巻発生装置」を開発
:国土技術政策総合研究所/建築研究所/東京大学/京都大学防災研究所

 国土交通省の国土技術政策総合研究所は11月2日、(独)建築研究所、東京大学、京都大学防災研究所と共同で、竜巻を工学的に模擬した空気の旋回流れ(渦巻き)を作り、実際の竜巻のように平面を移動できる機構を持つ「竜巻発生装置」を開発したと発表した。今後、共同研究機関と連携して、建築物の竜巻突風による危険度評価のため、同装置を積極的に活用した実験を始める。
 開発した竜巻発生装置は、旋回気流を発生する送風機を内蔵した「本体」、横方向に自走できる「架台」、実験対象の建築物の模型を設置する昇降式の「ステージ」、装置を操作する「制御盤」から構成されており、送風機の回転数やステージの高さなどを変えて発生する“竜巻”の風速などを任意に変えられる。「本体」の直径は1.5m、発生装置全体の高さは約2.3m。
 日本で竜巻は多く発生しないが、時には大きな被害を及ぼすことがある。たとえば、平成11年9月24日には、愛知県東三河地方に4つの竜巻が相次いで発生、重軽傷者450人以上、建築物被害は一部損壊を含めて3,000棟に達した。また、平成18年11月7日に北海道佐呂間町で寒冷前線の発達から生じた竜巻は、瞬間風速が83mにも達し、死者9人、負傷者23人を出した。
 同研究所としては、竜巻が通過する際に生じる外装材剥離のような建築物に作用する風力特性、屋根ふき材飛び散りのような飛散物による衝撃リスクなど、竜巻の突風危険度評価を通じて台風被害低減に役立つ技術的資料を蓄積。特に、被災すれば大きな損失が生じたり、市民活動に大きく影響する建築物に対しては、地震や台風と同様に竜巻に対する構造設計の考え方を整備していきたいとしている。

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新開発の「竜巻発生装置」(提供:国土技術政策総合研究所)